★なまはげの独り言

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zoom RSS 曲がり峠

<<   作成日時 : 2007/06/18 19:24   >>

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いつからともなく夕日ヶ丘峠は、
人々の間でユウレイ峠と呼ばれていた。

この夕日ヶ丘峠は、曲がりくねった道が何箇所もあり、
しかも日中もうす暗く、夏でも車窓から入る空気はひんやりと感じる。
たしかに、この暑いときに涼しい空気が入るのは、
場合によって一種の眠気防止に役立つのだが、
それがあまりに冷たく感じ、体全体がぶるっと身震いするほど極端なのだ。

夜、この峠を走る運転者たちは、ちょうど曲がりのところにさしかかると
ハンドルをとられ、まるで運転しているのは自分ではないようだと言う。

人の噂によると、何十年か前、
この峠で若い男女の乗った車がスピードを出し、
道端の大木にぶつかって二人とも即死、
そのユウレイが出ているのだと言う。
若い二人は結婚の約束をしていたのだが、
その結婚が叶わぬ悔しさであろうという。

何人もの人が夜になるとユウレイが道の真ん中に立っているのを見たというし、
ある人は、曲がった角のところで、急ブレーキをかけてやっと止まったという。
その時は、直前にいた女の姿は突然消えていたそうだ。

二人が抱き合っている姿を見かけた、という人もたくさんいた。

「わげえ二人であったがら、なんぼスピード出してだがらって、
死んだら悔しがったべな・・・・・・わがる気もするなだ」

同情する声もあり、また盆になると、
誰が置くのか道の脇に花や菓子が供えられている。


ヨシゾウはタクシーの運転手で、よくこの峠を走る。
職業柄こうした噂や、話は聞いているが、
自分で実際見たことはまだなかった。
何人かいる同僚たちはもうすでに経験したとかで、
ヨシゾウに、
「あの峠だけだば、気をつげで、ゆっくり走ったほうがエエ。
走っている先がら、おなごが急に立って出でぐるごどもあるがら、
へだすれば急に止めで、乗ってる客が怪我でもしたらそれごそ大変だがらな」


また、別の同僚も、
「おら、あんだに怖がったごどねがった。
あの峠さ来たらよ、乗せでいだ客が、
こごで止めてけれ、と言うんだ。
こごさ家もねえし、おがしな話だよな。
止めねで走ったけど。とても、後ろ見る気にならねがった。
その客の家まで行ったらちゃんと普通に降りでがらえがったども、
後で考えてみだら、峠で言ったのは誰だったんだべ、ど思ったら、
戻りが怖ぐて怖ぐて、タダでもええがら誰が乗る客いねがど探したよ」


そんなユウレイ峠だけに、
運転手もお客の行き先を聞いてこの峠を通るのだと判れば、
消極的というか誰も腰を上げようとしない。
まるでいやいやながら運転するようだった。


梅雨の蒸し暑い日だった。
同僚が全部出払っていて、ヨシゾウ一人の時に依頼の電話が入った。
行き先はとなりまちだった。
そこへ行くには、どうしてもユウレイ峠を行かねばならない。
そんな遅い時間でもないのだが、雲っているためかこの日は暗かった。
若い女性の客だった。
今にしては珍しく髪をうしろに束ねており、
化粧もほとんどしていない。
顔が青白く見えるのは光のせいであろうか。

車に乗ってからの女は、よく喋った。
ヨシゾウにすれば黙っているより何でも良いから喋ってもらった方がいい。

女は現在入院しているという。
なるほどそれで顔色がよくなかったのか。
「病院から急に今、外泊許可をもらって家さ帰るどごろだの
「それだば、えがったしな。退院も近いがら外泊でぎるのだんしべ」
「さあ、どうだが・・・・・・」

ヨシゾウは女のことより、まもなくユウレイ峠にかかるのが気にかかっていた。
おかしなもので、同僚の話がふと思い出される。
聞かなければよかったし、知らないでいたほうが一番なのだ。
が、知ってしまった以上とにかく、
前方をよく見て、ゆっくり走ることである。
前方のライトがそれるのは、曲がり道だからだ。
それまで喋っていた女は、なぜか黙ってしまった。

この女も、もしかしたらこの峠がユウレイ峠だということを知っていて、
黙り込んだのだろうか。
いつ来ても気持ちの良い峠ではない。峠全体がジメジメした感じだ。
両脇にうっそうと茂った大木が、そのジメジメしたものを更に陰気くさくしていた。


三つ目の曲がりに入ったとき、女は、
「鏡に、人が・・・・・」
「何かあったしべが」
「人が、ほら、鏡に・・・・・・」
言われてヨシゾウは、運転席の上の鏡を見た。
見て驚いた。
それは自分の顔であった、が・・・・・。
自分の顔なのに青白く、
黒い髪の毛はすっぽり白い布に覆われていた。
どう見てもそれは生きた人間とは思われない顔である。

「怖いっ、ここで降りる、止めて!」
女は叫んだ。
弱々しい声だが、腹に響く声だ。
ヨシゾウはしかたなく女を降ろした。

少し行ってUターンしたヨシゾウは、
峠を下ってからもう一度鏡を見た。
いつもの顔であった。


あの女はいったい・・・・・・・
ヨシゾウは、帰ってからもそれを考えると身の毛がよだった。











峠越えのドライブにはご注意!!







んだば







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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんばんは☆こねこです♪

 ぅ・・・ぅ・・・ぐすん・・・。
 まだ怪談の季節には早いですぅ・・・(涙)。

 もう、今日の夜寝るときが怖いじゃないですか・・・。
 
 お父しゃん・・・責任とって添い寝してくだちゃい!(照)

 ねこでした。ニャン☆ 
 
こねこ
URL
2007/06/18 21:12
こんばんは。
まだ梅雨入りしたばかり… 涼しくなる話は暑くなってからがいいですぅ…(>_<)

ところで ★なまはげさんは〜〜〜(m--)m見たことあるんですか? 
moon
2007/06/18 21:42
今日の大阪は とっても涼しかったんですよ。

だから この手の話は もっと酷暑がやってきてからにしてくださいませ。

夜中にトイレへ行けません・・・
+あい
2007/06/18 21:49
ほう,ほう,と読み進めているうち,前に一度,担(かつ)がれたことを思い出し,それじゃぁないかなと…。
もし,実話なら,ヨシゾウさんの車から降りた外泊許可のご夫人は,見つかりましたか。
閑 客
2007/06/18 22:19
怖いーーーー! まだオイラは幽霊って見た事ないけどやだーーー!!

トイレ、一人で行けない。。。((///(エ)///)
トシオ
URL
2007/06/18 23:05
☆こねこちゃんへ
 秋田には夏に限らず、年中怪談話があります。今回のテーマは「ジメジメ」。梅雨時のお話でした。
 貴女を眠らすために、添い寝するほうが私には怖い気がする。。。(冗談ですよ!!)
★なまはげ
2007/06/19 18:17
☆moonさんへ
 子供の頃に「人魂」を見ました。新しいお墓から、ボ〜ッと青白いものが立ち上がり飛んでいきました。一緒にいても見えなかった人もいました。
★なまはげ
2007/06/19 18:20
☆+あいさんへ
 オヤオヤ、+あいさんも苦手でしたか!!それは大変失礼しました。↑のこねこちゃんのとこのコメント欄にも書きましたが、ちょうどこの時期の怪談話でしたので紹介しました。
★なまはげ
2007/06/19 18:23
☆閑客さんへ
 ヨシゾウさんの車から降りた女性がその後どうなったのかを知る術がありません。曲がり峠の山の中、人家も無いところでたった一人降り
た女性・・・。。一体彼女は何だったのでしょう?
★なまはげ
2007/06/19 18:26
☆トシオさんへ
 トシオさんもだめなんですか??まだまだ秋田には怖い話がたくさんありますよ。今後も時々紹介していきますが・・・・大丈夫?
★なまはげ
2007/06/19 18:32
なまはげさ〜ん。
やめてくださいよ。最後まで読んじゃったじゃないですか。なんか、ぞくぞくするんですけど。
むうさん
URL
2007/06/19 20:09
☆むうさんへ
 ありゃりゃ、むうさんもこの手の話は駄目でしたか!!けどついつい最後まで読んじゃうんですよね!!
★なまはげ
2007/06/19 20:50
ホント、気をつけなくっちゃね!
猫姫少佐現品限り
URL
2007/06/20 01:02
☆猫姫さんへ
 最後の注意書きは、猫姫さん向けでした!!
★なまはげ
2007/06/20 18:27

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